2017年6月15日木曜日

第4回期日(口頭弁論)の概要報告

 マイナンバー制度のプライバシー侵害を訴え、国に対し番号の利用停止などを求める「マイナンバー(共通番号)違憲訴訟@神奈川」の第4回期日(口頭弁論)が5月18日、横浜地方裁判所で開かれました。
 今回も横浜地裁で最も大きい101号法廷が用意されました。当日は原告、傍聴者、原告代理人(弁護士)など84名が参集。うち原告席に20名が座り、被告席には国側の代理人など10名が着きました。

 午後3時30分に開廷。はじめに、原告代理人の小林弁護士が準備書面に基づき意見陳述。昨年10月の第2回期日でも指摘した「マイナンバー制度に関連する事故事例の紹介」の続編として、この半年間で起こったマイナンバー等の特定個人情報の漏洩事故を紹介しました。その上で、▽漏洩対策の杜撰さ、▽行政事務等の現場ではマイナンバーが無用の長物・税金の無駄遣いと捉えている実態――などの問題点を指摘。今後、情報連携システムの稼働により、更なる漏洩事故、悪意による不正・悪用などが生じる危険性を強調しました。
 次に、会社経営をするY氏が原告代表として意見陳述。▽個人情報の国家管理への違和感や拒否感、▽住民税通知書へのマイナンバー記載で従業員との関係悪化の懸念、▽個人番号カードと保険証の一元化策への不安――など、事業主・個人としての実体験や実感に基づき、マイナンバー制度に抱く危機感を主張しました。

 被告(国)は期日前に準備書面(原告の主張に対する反論)を提出していましたが、それに関連する発言はありませんでした。
 裁判長は国側に対し、原告の準備書面と意見陳述を受けて、追加の準備書面を提出するか否か質問。国側は「提出しない」、「すぐに結審してもらって構わない」と回答しました。一方、原告側は国の準備書面に対する反論等を次回期日に提出、意見陳述も行うとしました。

「なめられている」 不誠実な国の姿勢に怒り

 閉廷後には報告集会を開催し、63名が参加しました。
 集会では、弁護団代表の小賀坂氏が裁判報告の他、国の準備書面について、▽住基ネット判決のみを引用した自己情報コントロール権の否認、▽制度施行前の試算に基づく利便性の立証、▽原告の主張の半分以上を無視している点――など、問題点を指摘。まともな反論をしようとしない国の姿勢に、「完全になめられている」と怒りを露わにしました。

 その後、フロア討論、次回期日の日程(2017年9月14日)を確認し、終了しました。

※写真は報告集会の様子です